京都 蔵丘洞画廊

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絵と人に出逢う

夏の訪れ ~ 天を突く鉾 ~

2011年7月15日

2011年、京都の町には例年より早い梅雨明けのしらせがありました。
例年であれば梅雨明けは7月の半ば、ちょうど祇園祭の山鉾巡行の前後です。
京都洛中では7月に入ると八坂神社の祭礼である祇園祭りが始まり、様々な神事が執り行われ、その中心的なものが山鉾巡行です。京都の住人であれば山鉾巡行の日がくるといよいよ梅雨が明けたな、と感じることでしょう。
その昔、平安京の頃は人口が集中し、水利も悪く、現代よりかなり衛生状態が良くなかったので、夏前の高温多湿な時期になると疫病が蔓延しました。その疫病を封じる神事が祇園祭の起源です。その祭りの一番の見せ場である山鉾巡行の様子は室町期から江戸期に盛んに描かれた洛中洛外図屏風(特に上杉本右隻)のなかにも登場し、今も変わらぬ姿で祭りの中核をなしています。
用事で画廊から出て歩いていると、とある鉾が天を突く姿でスックとたっています。まるで雨を降らす雲を裂き、晴天をもたらし、疫病という災いに打ち勝ったように、勇ましくも凛々しい姿に見えてなりません。こうして京都に本格的な夏がやってきました。

文責 池内 2011.7.15