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絵と人に出逢う

絵と出逢う・人と出逢う

2010年11月25日

よく「日本人は海外の文化には敏感だが、足元日本の文化には意外と疎い」などと言われている。はたしてそれは日本人だけなのだろうか?今回の海外の作家との交流で人間と土地文化について少し考えてみることができました。

個展にあわせてオランダからマリールース・レイクさんがご主人様と来日されました。二人は京都の古民家に宿泊されて、床の間のある座敷に布団を敷いて寝るという経験をはじめてされたようです。今は日本人でもベッドで寝る人のほうが多い時代、あえて古民家、敷布団、などを選ばれた作家夫妻は日本文化にとても興味を示し、抵抗無く楽しんでおられます。そんな二人を是非京都散策に連れていきたいと思い、忙しい合間を縫って京都散策へ出発。案内の池内と三人で出かけてきました。はじめに老舗京料理店で食事をし、三十三間堂、河井寛次郎記念館、等を巡ってきました。

散策の道すがら、お二人は地蔵の祠やなんでもない古民家に関心を示したり、我々が普段目に留めないようなことや、当たり前になっていることに感動をし、興味をもってくれます。人間は普段は自分の土地文化を意識しません、しかし、外から見ることによって己の土地の文化に気がつかされます。私は日本人ですが、マリールース・レイクの絵の背景の碧を見ると、まぎれもなく北海沿岸のヨーロッパの雰囲気を感じます。北海沿岸のヨーロッパ人である作家自身は自然と内在された内面からそのような表現を自然と創っていくのだろうとさえ思います。日本人のある作家の作品も海外では「みるからに日本の色ですね!」と言われたことがありました。

普段は意識せずとも人間は必ずその土地の文化を持って生活している。日本人が日本の文化に疎いのではなくて、日本文化にどっぷり浸かっているため気がつかないだけなのではないか、と。そんなことをマリールースさんとの散策でふと思いました。


(河井寛次郎記念館にて)

文責 池内 2010.11.25