京都 蔵丘洞画廊

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ちいさな作品による 土井沙織展 -カーテンの奥-


『 チョイス 』 26 × 25 cm

展覧会の終了に伴い、公開しておりました全作品詳細の掲載を終了させていただきます。
ありがとうございました。
3号程度の小品を中心に約100点を一堂に展観致します。
普段超大作のイメージを持つ作家が小さな画面でどれだけ迫力のある表現が出来るのか、是非ご高覧下さい。


動物も植物も空想上の生き物も、等しく友達だった、子供の頃。世界の全てが わたしの味方だったあの感覚は、今や遠いものになってしまった。

わたしが変わってしまったのか変わらざるを得なかったのか、どちらにせよ失ってしまったと思っていた。
しかし、世界はずっとそこにあったのだ。
敵でも味方でもなく、美しくも醜くもなく、ただそこにあるものだったのだ。

わたしの感情によって、見え方が変化していただけで。

世界は現実とも言い換えられる。
こちらの状態とは無関係に、厳然としてあるもの。
それは時に見たくないもので、受け入れがたいものでもあるが、カーテンの奥にしまいこんだ感情とともに、その全てを受け入れることができたらいいと願っている。

土井沙織


その目が見ているもの

あなたは私の目を見詰めた。その目はこれで終わりだよと言っていた。本当に信じられなかった。あなたどうしたのと思った……。シコ・ブアルキ 作詞、フランシス・イミ作曲「 扉の向こう( Atras da Porta )」。男から目顔で別れを告げられた時、女の目は何を見ていたのだろう。
土井沙織さんが描く動物たちの目は何を見ているのか。太い輪郭、強い色彩、一点集中の主題はルオーに似ている。が、土井さんを和製ルオーとか「 かわいい動物派 」とか呼んではいけない。彼女はルオーと同じ方向を見て描いているのかもしれない。
土井さんは生き物の目を真正面から描ける、まれな人だと 2014 年の個展の折に書いて寄せた。今回は小型の作品をたくさん並べると聞く。目、 目、目。思い出したくない誰かの、思い出したくない自分の、思い出したくない瞬間の、けれど忘れることができない目。その目が見ているもの は、あなたが思い出したくない何かではないか。

名古屋 覚( なごや・さとる = コラムニスト、美術ジャーナリスト )

開催概要

ちいさな作品による 土井沙織展 -カーテンの奥-

日時:
11 月 28 日( 土 ) ~ 12 月 12 日( 土 )
10:30 AM - 6:30 PM 会期中無休
会場:
京都・蔵丘洞画廊(〒604-8091京都市中京区御池通寺町東入ル)