絵と人に出逢う
2006年4月
何年も前にお買い上げ頂いていた作品を、新しい作品を納める際の下取りとして引取りました。
私たちは職業として、一度観た絵の図柄は大抵忘れません。その上この絵は元々当画廊から嫁がせたもので、資料も一式残ってありましたが、何故か日常に追われ、記憶が薄まっていました。
マリー・ローランサンの「三人の少女」と云う絵がその作品です。出戻りの姿を改めてみて驚きました。 みずみずしく、しかもちょっと他にはないくらいの秀作で、惚れ惚れしてしまいました。人間は年を取りますが、青春の歌声が聞こえんばかりに描かれた三人娘は、眩しいくらいに新鮮です。
時代のなかで縁在ってひとときひとりのコレクターの元へ嫁ぎ、また次のコレクターの為に存在する絵画は、人類の女神のようです。
願わくば、しばらく実家で愛しき様を振りまいていて欲しいものです。
蔵丘洞画廊主人敬白